2024年6月号
- 宇宙スタートアップ企業向けの法的事務評価ツールが公開される
- マンフレッド・ラクス宇宙法模擬裁判大会アジア太平洋地域予選が開催
- 第15回IISL Happy Hour開催
- アルメニア、アルテミス合意に署名
- 国連COPUOS本会議が開催
- 米宇宙軍、スターリンク衛星の再突入につき情報公開
- 国連宇宙部への拠出金、中国トップ 日本も増額で対抗
- 「進入抑止の法整備を」 ロケット打ち上げ延期受け、和歌山県が国に要望
- 宇宙ゴミが民家を直撃、責任は誰に? 米家族がNASAに1280万円賠償請求
- “月の裏からサンプル” 中国の無人月面探査機カプセルが帰還 月資源のルールは
- [コラム@](社説)月資源探査 ルール作りへ協議急げ
- [コラムA]Victoria Samso, “Insight ? FAQ: What we know about Russia’s alleged nuclear anti-satellite weapon”
- [お勧めの文献]Jack Wright Nelson, “Is International Space Law Interactional?” Columbia Journal of Transnational Law, Vol. 62 (2024), p. 331.
宇宙スタートアップ企業向けの法的事務評価ツールが公開される
https://spacenews.com/online-calculator-helps-startups-navigate-the-regulatory-landscape/
[SPLメモ] 米国においてもベンチャー企業の宇宙ビジネスに適用される国内規制は複雑である。弁護士事務所Aegis Space Law社はオンラインで適用法を明確にできるSpace Regulatory Calcilatorを提供している。
マンフレッド・ラクス宇宙法模擬裁判大会アジア太平洋地域予選が開催
[SPLメモ] 昨年に引き続き、学習院大学において国際宇宙法学会(IISL)主催の宇宙法模擬裁判アジア太平洋地域予選が開かれた。本年のテーマは米国企業SpaceX社のStarlinkプロジェクトが論争を引き起こしている「暗くて静かな空」であり、日本からは早稲田大学が参加した。なお、来年はインドで開催される。
第15回IISL Happy Hour開催
https://iisl.space/index.php/2024/06/19/iisl-happy-hour-14-held/
[SPLメモ] オンラインのハッピーアワーと題しつつも、内容としてはESAが牽引する宇宙デブリ低減規範「Zero Debris Charter」のミニセミナーとなっている。司会を慶応義塾大学の青木節子教授が務め、ESA職員兼東大の助教授でもあるDr. Quentin Verspierenが説明を行い、参加者からの質疑応答にも対応している。
アルメニア、アルテミス合意に署名
https://spacenews.com/armenia-signs-artemis-accords/
[SPLメモ] アルテミス合意の署名国としては43カ国目。具体的な月探査計画のない国であっても、今後の月探査に関する枠組みに参加を希望する国が増えている。なお、アルテミス署名国はIAC会期中にアルテミスWGの場で意見交換を始めている。
COPUOS本会議が開催
https://www.unoosa.org/oosa/en/ourwork/copuos/2024/index.html
[SPLメモ] 2024年6月19-28日にウィーンにおいて第67回COUPOSが開催された。6月に開催されるCOPUOSは時に「親委員会」とも呼ばれる。その理由は、1‐2月のうち約2週間にわたり開催される科学技術小委員会(STSC)と、3‐4月のうち約2週間にわたり開催される法律小委員会(LSC)とで作成される2つの報告書について承認を行う場だからである。なお、近年ではすべての会議(サイドイベントを含む)が動画で配信されるため、宇宙法に関心のある学生には閲覧をお勧めする。
米宇宙軍、スターリンク衛星の再突入につき情報公開
[SPLメモ] Starlinkなどメガコンステレーションでは大気圏に再突入させる衛星の数も多い。再突入の際に燃え尽きない衛星部品があると地表への損害を生じかねない。再突入に関する情報公開の重要性は増している。
国連宇宙部への拠出金、中国トップ 日本も増額で対抗
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR227SJ0S4A520C2000000/
[SPLメモ] 国連(特別)機関の数は増す一方である。そのなかで拠出金の額によって国家の影響力が増すと考える国や、自国の意見が通らなければ国連機関から脱退しようとする国もある。拠出金の額によってどのように規範形成が影響を受けるのか・・実務家から話を伺いところである。
「進入抑止の法整備を」 ロケット打ち上げ延期受け、和歌山県が国に要望
https://www.agara.co.jp/article/382037
[SPLメモ] 近年、商業宇宙港(commercial spaceport)を運営する国が増えつつあり、安全性の観点から検討を要する課題は多い。例えば、宇宙損害責任条約では「地表における損害」と「地表以外における損害」とでは打上げ国の背負う賠償責任の重さが異なるが、大気圏で生じた損害(気球など)については不明瞭な点もある。
宇宙ゴミが民家を直撃、責任は誰に? 米家族がNASAに1280万円賠償請求
https://forbesjapan.com/articles/detail/71954
[SPLメモ] 宇宙損害責任条約第7条は「打上げ国の国民は同条約の賠償責任制度を利用できない」と定めている。このため本件では同条約ではなく、国内法により解決を試みている。
“月の裏からサンプル” 中国の無人月面探査機カプセルが帰還 月資源のルールは
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240625/k10014491441000.html
[SPLメモ] 中国は月面ローバを2013年から月で使用しており、同シリーズのローバには原子力電池(原子力電源ともいう:Nuclear Power Sources)を搭載させている。また、中国は月面に原子炉の建設も計画していることから、IAEA法制度の適用可能性も今後検討を要するであろう。
[コラム@](社説)月資源探査 ルール作りへ協議急げ
https://www.asahi.com/articles/DA3S15968068.html
[コラムA]Victoria Samso, “Insight ? FAQ: What we know about Russia’s alleged nuclear anti-satellite weapon”
[お勧めの文献]Jack Wright Nelson, “Is International Space Law Interactional?” Columbia Journal of Transnational Law, Vol. 62 (2024), p. 331.