2025年5月号
- COPUOS LSCが開催
- IISLとECSL、宇宙法シンポジウムを開催
- ノルウェーがアルテミス合意に署名
- 自民党「宇宙・海洋開発特別委員会・宇宙総合戦略小委員会」、宇宙政策に関する提言を申し入れ
- 宇宙活動法改正、26年の通常国会への提出を予定
- 宇宙基本計画の改定に向けた重点事項の決定
- [コラム]清水亘、山田智希「知的財産法×宇宙法 ?国境なき宇宙空間と知的財産権の属地主義」※有料記事
- [お勧めの文献@]岩城陽大、菊地耕一「プラネタリーディフェンスに適用される国際法」
- [お勧めの文献A]Steven Truxal and Dimitra Stefoudi, “Where Air Meets Space: Legal Implications for the Provision and Use of in-Flight Internet Connectivity by Satellite”
- [お勧めの文献B]Shu Yee Teoh, “Understanding and advancing space law in Malaysia”
- [お勧めの文献C]Lucien Rapp (eds.), The Spationary A Dictionary of Essential Space Terminology for Lawyers
COPUOS LSCが開催
https://www.unoosa.org/oosa/en/ourwork/copuos/lsc/2025/index.html
[SPLメモ] 2025年5月5日から16日にかけて、ウィーンにおいて国連宇宙空間平和利用委員会の第64回法律小委員会の会合が開かれた。今年のCOPUOS LSCでは特に、宇宙資源活動に関する勧告的原則(Recommended principles)の策定に関する議論が本格的に行われ、注目を集めた。
IISLとECSL、宇宙法シンポジウムを開催
https://iisl.space/iisl-ecsl-symposium-2025/
[SPLメモ] 2025年5月14日、国際宇宙法学会(IISL)と欧州宇宙法学会(ECSL)は国連宇宙空間平和利用委員会の法律小委員会と並行してシンポジウムを開催した。今年のテーマはDue regard in outer space: current legal implicationsで、日本人では青木節子教授が登壇した。
ノルウェーがアルテミス合意に署名
https://www.nasa.gov/news-release/nasa-welcomes-norway-as-55th-nation-to-sign-artemis-accords/
[SPLメモ] 2025年5月15日、ノルウェーがアルテミス合意に署名した。アルテミス合意は月面における活動につき、資源の探査及び利用も含めた規範を構築していくための枠組で、NASAが主導している。ノルウェーはアルテミス合意の55番目の署名国となる。
自民党「宇宙・海洋開発特別委員会・宇宙総合戦略小委員会」、宇宙政策に関する提言を申し入れ
https://www.jimin.jp/news/policy/210627.html
[SPLメモ] 2025年5月23日、自民党の「宇宙・海洋開発特別委員会・宇宙総合戦略小委員会」は石破首相に対し宇宙政策に関する包括的な提言を申し入れた。同提言は安全保障分野における宇宙活動の利用の拡大をはじめ、現在検討中の宇宙活動法改正への言及や宇宙政策推進体制の強化など多様な事項が盛り込まれている。
宇宙活動法改正、26年の通常国会への提出を予定
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA290QI0Z20C25A5000000/
[SPLメモ] 2025年5月30日、政府は宇宙開発戦略本部の会合を開催し、宇宙活動法の改正案を来年の通常国会へ提出する意向を表明した。宇宙活動法は現在内閣府宇宙政策委員会の「宇宙活動法の見直しに関する小委員会」にて検討が行われており、3月には中間とりまとめが公表されている。同改正はサブオービタル飛行を含め、近年の宇宙開発分野の発展の動向を踏まえたものとなる見通である。
宇宙基本計画の改定に向けた重点事項の決定
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250530/k10014820791000.html
[SPLメモ] 2025年5月30日、政府は宇宙基本計画の工程表の改訂に向けた重点事項を決定した。重点事項にはロケット打上げの強化やサブオービタル飛行などの宇宙技術発展の推進、宇宙安全保障体制の強化に向けたSDA衛星 (Space Domain Awareness衛星)の打上げなどが盛り込まれている。
[コラム]清水亘、山田智希「知的財産法×宇宙法 ?国境なき宇宙空間と知的財産権の属地主義」※有料記事
https://yuhikaku.com/articles/-/27875#h2-3-4
[SPLメモ]特許権侵害行為の一部が宇宙空間で起きてしまった場合など、法適用における実践的な理解を深めるのに有意義な記事。
[お勧めの文献@]岩城陽大、菊地耕一「プラネタリーディフェンスに適用される国際法」『日本航空宇宙学会誌』73巻6号(2025年)199-204頁
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kjsass/73/6/73_199/_article/-char/ja
[SPLメモ] プラネタリーディフェンスは地球への天体衝突を回避するため対策を検討するものであり、天体の軌道変更に用いる武力行使の際の法的根拠や、究極的には核エネルギーを使用するため、国際法上の課題も多い。[参考文献:https://space-law.keio.ac.jp/pdf/activity/activity_230307_07.pdf]
[お勧めの文献A]Steven Truxal and Dimitra Stefoudi, “Where Air Meets Space: Legal Implications for the Provision and Use of in-Flight Internet Connectivity by Satellite,” Loyola University Chicago International Law Review, Vol. 21, Issue 1 (2025), pp. 1-12.
[SPLメモ] 衛星による機内インターネットに関する法的研究。
[お勧めの文献B]Shu Yee Teoh, “Understanding and advancing space law in Malaysia,” in Elisa Gonzalez Ferreiro and others (eds.), Boletin Observatorio Juridico Aeroespacial No18 (Editorial Colex, 2025), pp. 120-132.
https://dialnet.unirioja.es/ejemplar/697383
[SPLメモ] マレーシアの宇宙活動に関する国内法を内容とする文献。
[お勧めの文献C]Lucien Rapp (eds.), The Spationary A Dictionary of Essential Space Terminology for Lawyers (Brill, 2025).
[SPLメモ] 宇宙法を扱う実務者を対象とした、宇宙活動に関連する用語辞書。定期的に更新される。