2025年1月号
- 米国、スペースX社への罰金を再考?
- 米国、ノルウェーとアンド―ヤ島における打上げのTSAを締結
- 米国、大統領令にて民間宇宙企業のサイバーセキュリティ強化を指示
- 宇宙政策委員会、宇宙活動法の見直しに関する小委員会の第7回会合を開催
- フィンランドがアルテミス合意に署名
- 宇宙政策委員会、宇宙活動法の見直しに関する小委員会の第8回会合を開催
- 北海道のスペースポート運営会社がワシントン・コンパクトに署名
- [コラム@]"China’s Guowang launch raises questions about satellite purpose and transparency,
- [コラムA]長島・大野・常松法律事務所「シュローグルIISL会長によるミニ宇宙法セミナー」
- [コラムB]秋山文野「2025年の宇宙活動はどうなる??民間の月探査に注目、日本は宇宙活動法を見直し」
- [お勧めの文献@]Mahulena Hofmann and P.J. Blount (eds.), Elgar Concise Encyclopedia of Space Law (Edward Elgar Publishing, 2025).
- [お勧めの文献A]Cris van Eijk, “The exclusive making of space law,” Leiden Journal of International Law (2025).
米国、スペースX社への罰金を再考?
https://spacenews.com/transportation-secretary-nominee-vows-to-review-spacex-launch-license-fines/
[SPLメモ] 2025年1月15日、アメリカ運輸省長官は同国が昨年9月にスペースX社に対して出した罰金の通告を再検討する旨の発言を行った。同通告は2023年の同社の打上げがアメリカの打上げライセンスに違反していることを理由としていたが、同社はこれに対して反論文を公表していた。
関連記事:罰金の通告に関する記事。
https://spacenews.com/faa-fines-spacex-for-launch-license-violations/
米国、ノルウェーとアンド―ヤ島における打上げのTSAを締結
https://spacenews.com/u-s-and-norway-sign-technology-safeguards-agreement-for-launches-from-andoya/
[SPLメモ] 2025年1月16日、アメリカはノルウェーとアンド―ヤ宇宙港における打上げに関する技術保障協定(TSA)を締結した。アンド―ヤ宇宙港(Andoya Spaceport)は2023年11月に開港した宇宙港で、ノルウェー企業のAndoya Spaceが運営している。同宇宙港はドイツの宇宙企業と提携しており、2024年の6月にはノルウェー・ドイツ政府間で衛星打上げに関する協力宣言が出されている。
米国、大統領令にて民間宇宙企業のサイバーセキュリティ強化を指示
https://spacenews.com/executive-order-calls-for-cybersecurity-review-of-civil-space-systems/
[SPLメモ] 宇宙産業はその活動の重要性からサイバーテロや国家間のサイバー戦の対象となる可能性がかねてより指摘されている。民間企業の宇宙事業への参入は必然的にそれらの企業へのサイバーセキュリティ強化の要請を導くものである。
宇宙政策委員会、宇宙活動法の見直しに関する小委員会の第7回会合を開催
https://www8.cao.go.jp/space/comittee/31-katsudou_minaosi/k_m-dai7/gijisidai.html
[SPLメモ] 2025年1月20日、内閣府の宇宙政策委員会に設置された「宇宙活動法の見直しに関する小委員会」の第5回会合が開催された。主な議題は打上げ場所に関する制度の検討と、宇宙活動法の見直しの基本的方向性について(中間とりまとめ)案の検討であった。
フィンランドがアルテミス合意に署名
https://www.nasa.gov/news-release/nasa-welcomes-finland-as-newest-artemis-accords-signatory/
[SPLメモ] 2024年11月13日、フィンランドがアルテミス合意に署名した。アルテミス合意は月面における活動につき、資源の探査及び利用も含めた規範を構築していくための枠組で、NASAが主導している。フィンランドは53番目の署名国となる。
宇宙政策委員会、宇宙活動法の見直しに関する小委員会の第8回会合を開催
https://www8.cao.go.jp/space/comittee/31-katsudou_minaosi/k_m-dai8/gijisidai.html
[SPLメモ] 2025年1月29日、内閣府の宇宙政策委員会に設置された「宇宙活動法の見直しに関する小委員会」の第8回会合が開催された。主な議題は宇宙活動法の見直しの基本的方向性(中間とりまとめ)案の検討であった。
北海道のスペースポート運営会社がワシントン・コンパクトに署名
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000117.000078016.html
[SPLメモ] ワシントン・コンパクトとはオランダのシンクタンクであるThe Hague Institute for Global Justiceが主導した商業宇宙活動の行動規範に関する原則である。同文書は民間宇宙活動の持続性確保に向けた原則を確認するもので、日本からも幾つかの宇宙関連企業が署名している。
[コラム@]Andrew Jones, China’s Guowang launch raises questions about satellite purpose and transparency.”
[SPLメモ] 中国のメガコンステレーションと思われるGuowang衛星が10機打ち上げられたが、その目的や規模に関する情報が非公開なままである。宇宙活動に関する情報共有は重要な透明性措置である旨を指摘するとともに、宇宙交通管理(STM)にとっても不可欠な点を指摘する記事。
[コラムA]長島・大野・常松法律事務所「シュローグルIISL会長によるミニ宇宙法セミナー」
https://www.noandt.com/features/universe_06/
[SPLメモ] 宇宙法分野において規範形成が急がれる最新のテーマの講演および質疑応答。
[コラムB]秋山文野「2025年の宇宙活動はどうなる??民間の月探査に注目、日本は宇宙活動法を見直し」
https://uchubiz.com/article/fea56510/
[SPLメモ] 宇宙活動法の議論は詳しく紹介されていないが、月探査活動に関する国際動向をバランスよく紹介。
[お勧めの文献@]Mahulena Hofmann and P.J. Blount (eds.), Elgar Concise Encyclopedia of Space Law (Edward Elgar Publishing, 2025).
[SPLメモ] アルテミス合意から宇宙の環境保護まで幅広い宇宙法用語を扱った法律辞典。
[お勧めの文献A]Cris van Eijk, “The exclusive making of space law,” Leiden Journal of International Law (2025).
[SPLメモ] 冷戦下に限られた数の国々で起草された宇宙法。その特徴を分析することで、人類共有の財産(CHM)概念の創出過程をたどる文献。
[お勧めの文献B]IISL Working Group on Legal aspects of AI in space.
https://iisl.space/index.php/iisl-working-group-on-legal-aspects-of-ai-in-space/
[SPLメモ] 国際宇宙法学会(IISL)の設置した「宇宙におけるAI の法的側面に関するWG」の報告書が公開されている。