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メキシコの宇宙法が制定間近

https://mexicobusiness.news/aerospace/news/mexicos-space-law-nears-approval-expected-end-2024

[SPLメモ] 国内宇宙法の整備により、海外からの投資の促進や技術移転問題の回避などを試みる国が多い。なお、輸出管理法に関する条項を設ける国内宇宙法の例としてインドネシアの国内法がある。日本の宇宙活動法では輸出管理に関する条項はない。

セネガルがILRSに加入

https://spacenews.com/senegal-among-new-members-of-chinas-ilrs-moon-base-project/

[SPLメモ] ILRSとは、中国主導の月面開発プロジェクトのことである。アメリカ主導のArtemis Accordsと比較されることが多い。
関連記事: SWF, “Lunar Space Cooperation Initiatives,” at https://swfound.org/lunar-space-cooperation-initiatives/

欧州委員会とSPACE Aisblが宇宙パートナーシップ協定を締結

https://spacewatch.global/2024/09/european-commission-and-space-aisbl-form-space-partnership/

[SPLメモ] 近年、欧州は宇宙関連分野のコミュニティ強化を図っている。今回欧州委員会が協定を結んだSPACE Aisbl は、2024年に設立された協会であり、ASD Eurospace、ESRE、EARTO、SME4SPACE、EASN Associationの5つの宇宙関連協会をまとめる団体である。

FAA、打上げライセンス違反でスペースX社に罰金の通告

https://spacenews.com/faa-fines-spacex-for-launch-license-violations/

[SPLメモ] 宇宙条約第6条に基づき、国家は自国の宇宙活動国の監督義務を負う。アメリカ連邦航空局(FAA)は同国においてそのような監督を担当する機関である。本件は2023年にスペースX社が行ったとされるライセンス違反に関する記事。

スペースX社、FAAの監督体制を批判

https://spacenews.com/spacex-letter-criticizes-faa-for-systemic-challenges-in-launch-licensing/

[SPLメモ] 宇宙条約第6条では、政府は自国の宇宙活動が国際義務に違反しないよう、許可または認可(authorization)および継続的な監督を行わなくてはならない。本件は監督体制問の題点に関する記事。

日本政府、ロケット打上げ認可および申請の要件を大幅緩和へ

https://www.yomiuri.co.jp/science/20240926-OYT1T50064/

[SPLメモ]宇宙条約第6条における許可に関する記事。複数回の打上げの一括許可は、民間企業による打上げビジネスにとってかなり重要。

[コラム@]Tian Yi and Wu Chaolan, “China's planned lunar research station ushers in new era of global space collaboration.”

http://en.people.cn/n3/2024/0907/c90000-20216290.html

[SPLメモ] 2017年から始動したILRSプロジェクトが正式に始動。中国はすでに月の裏側までローバ―を走らせており、月探査ミッションではアルテミス計画の先を行っている。アルテミス・アコードのような国際文書はまだ発表されていないが、アフリカやタイランドなど、着実にパートナー国を増やしている。

[コラムA]David A. Koplow, “In the Woomera Manual, International Law Meets Military Space Activities”

https://www.justsecurity.org/100043/woomera-manual-international-law-military-space/

[SPLメモ] ウーメラ・マニュアルは国際人道法が宇宙空間の軍事利用に適用されると想定し(宇宙諸条約は「一般法)と見做す立場)、ミラモス・マニュアルは宇宙諸条約が宇宙空間の軍事利用にも適用される(宇宙諸条約を「特別法」見做す立場)として法的検討がなされている。いずれも国際法学者によるマニュアルであり、国を拘束する「条約」ではない。

[コラムB]Simon Chapman KC and others, “Disputes in space ? The next frontier?”

https://www.herbertsmithfreehills.com/insights/reports/inside-arbitration-issue-18/disputes-in-space-the-next-frontier

[SPLメモ] 宇宙条約には紛争解決条項が欠如しているため、宇宙ビジネスへの投資には法的課題が多い。

[コラムC]Andrea Rotter, “Is Germany Ready to Take Space Seriously? Requirements for Germany's First Space Security Strategy”

https://warontherocks.com/2024/09/is-germany-ready-to-take-space-seriously-requirements-for-germanys-first-space-security-strategy/

[SPLメモ] ドイツが準備を進めている宇宙戦略文書の経緯を説明したもの。欧州レベルではすでに宇宙防衛戦略などの文書は数年前から発表されている。

[コラムD]小玉祥司「宇宙ごみ対策に新ルール30日から 米が先行、追う日欧」※有料

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD050QI0V00C24A7000000/

[SPLメモ] 低軌道における宇宙デブリ低減に資するルール改正を米国が打ち出すが、スペースX社のメガコンのみを想定してのルール改正か。米国の新ルールといったデブリ低減への努力は、宇宙条約第9条の「妥当な考慮」義務の遵守に関係してくる。

[お勧めの文献@]Hamid Jahankhani and others (eds.), Space Law Principles and Sustainable Measures (Springer, 2024).

https://link.springer.com/book/10.1007/978-3-031-64045-2

[SPLメモ] 宇宙安全保障とサイバー安全保障の両方に関係する問題からアルテミス・アコードにおける「妥当な考慮」原則など、若手研究者による新しいテーマの論文を集めた論文集。

[お勧めの文献A]Brian C. Odom (ed.), The Rise of the Commercial Space Industry Early Space Age to the Present (Springer, 2024).

https://link.springer.com/book/10.1007/978-3-031-63410-9

[SPLメモ] 国際宇宙法学者による、宇宙空間の商業利用の初期および現在に関する論文、およびドゥアルユースである宇宙技術と宇宙ビジネスに関する論文を収録した論文集。

[お勧めの文献B]Z Tian, Legal aspects of Active Debris Removal (ADR): regulation of ADR under international space law and the way forward for legal development, Doctoral Thesis of Leiden University (2024).

https://scholarlypublications.universiteitleiden.nl/handle/1887/4082461

[SPLメモ] ADR技術は、デブリを回収する技術でもあるが、それは同時に衛星を破壊できるという宇宙兵器の側面を有する。本文献はライデン大学の博士論文を書籍化したものであり、国際宇宙法がどのようにADRを規制できるかという点を考察したもの。

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